Fahrenheit 451 by Ray Bradbury
Fahrenheit 451 (Flamingo Modern Classics)
- 作者: Ray Bradbury
- 出版社/メーカー: Flamingo
- 発売日: 1999/08/16
- メディア: ペーパーバック
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舞台となるのは、書物の所有が禁じられた未来の社会。書物を隠し持っている国民は、かつては消防を生業としたfiremanたちによって家ごと焼き払われる。
主人公はそんな自分の仕事に誇りを持つfiremanのMontag。Clarrisseという一風変わった、しかし感受性豊かな少女との出会いや、書物と共に焼かれることを選んだ老女の死を通じて、この抑制された社会に疑問を抱き始めます。
そして家々からこっそり書物を盗み、本の魅力に取り憑かれていくのですが…。
テレビやコミックブックといった娯楽が氾濫し、本そのものやそこから得られる叡智に大衆が興味を失った世界はひんやりとした恐ろしさが蔓延しています。壁一面の巨大テレビを「家族」と呼ぶMontagの妻やその友人たちの低俗な会話からも伺えるように、人々の思考能力が停止し、結婚相手とどのように出会ったかさえ忘れてしまうほど記憶力も低下していくのですから。
スマフォやネットの台頭によって受け身な時間の過ごし方がもはや一般的となった現代と重なる部分が大いにあり、自分の生活にも危機感を感じてしまいました。しかし、この本を読んだ感想をブログにアップしているという皮肉には筆者もビックリだろうな…。電子媒体ではなく、ペーパーバックで読んだだけまだマシかなという気はしますが。
Montagが協力を求めたFaberという教授の言葉が力強く印象的でした。
本が禁じられた社会で失われた3つのこと。
1つ目は"qualty of information"、2つ目は"leisure to digest it"、そして3つ目は"the right to carry out actions based on what we learn from the interaction of the first two"
1953年に出版された本でありながらも、マスメディアの発展による読書の意義の喪失に警笛を鳴らした筆者の先見の明は実に見事だなと思います。
改めてlife time workとして本を読むことを大切にしていきたいな、と思わされた一冊でした。
評判の良い新訳版もいつか読んでみたいです。